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【怖い話|短編】残像

残像
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残像

友人の美咲が、少し興奮した様子でスマホを取り出し、私に見せてきたのは、旅行先で撮ったという写真だった。

「ねえ、これ見て。なんかおかしいんだよ。」彼女はそう言いながら、画面を指さしました。それは、山奥の古い神社で撮った集合写真。友人たち数人が並んで笑顔を浮かべていたが、写真の端に、異様なものが映り込んでいたのです。

最初は光の具合で出来た影か何かだろうと思いましたが、よく見ればそれは明らかに人の形をしていました。

長い髪の女が、じっと友人たちを見つめているように感じられます。「この人、誰?」私は問いかけました。美咲は首を振り、「私たちだけしかいなかったの。撮影したとき、周りには誰もいなかったんだよ」と、不安げな顔で答えました。

気味が悪くなり、写真をズームしてみると、その女性の輪郭がぼやけているものの、顔ははっきりとこちらを向いていることに気づきました。しかも、どこか憂いを帯びた表情をしているのです。

「怖いよね?」美咲は私の顔色を見ながら言いました。私は頷くしかありませんでした。何か、普通ではないことがこの写真に写り込んでいるのが明白だったからです。

その夜、私は一人でその写真のことを考えながら寝室にいました。

突然、部屋の中が妙に冷たく感じられ、背後から視線を感じたのです。振り返っても誰もいない。けれど、その気配は消えませんでした。美咲から送られてきた写真を再び確認するためにスマホを手に取りました。画面に映るあの影の女性が、まるでこちらを覗き込んでいるかのように感じました。

翌日、友人たちにその話をしてみました。すると驚くべきことに、他の友人も同じような体験をしていると言うのです。美咲が写真を見せて以来、何人かは高熱を出して寝込み、また別の友人は家の中で急に物音がするようになったり、見えない何かに肩を叩かれるような感覚を覚えたりしていました。

「やっぱりこの写真、何かおかしいよ。消した方がいいと思うんだ。」誰かが提案し、美咲も同意しました。「うん、消すよ。もうこんなの見たくないし、持っていたくない。」そう言って、彼女はスマホからその写真を削除しました。

しかし、その話はここで終わりませんでした。数日後、美咲から「やっぱり写真が戻ってきた」と連絡がありました。消したはずの写真が、なぜか彼女のスマホに復活していたのです。恐る恐る私もスマホを確認してみると、なんと私の端末にも同じ写真が保存されていました。私はその写真を削除しても削除しても、いつの間にかまた戻っているのです。

「どうするの?これ、終わらないじゃん…」焦った声で美咲が言いました。「神社に戻って、何か供養とかしてもらった方がいいんじゃない?」別の友人が提案しましたが、美咲はすぐには動けない様子でした。皆、怯えていたのです。その神社には近づきたくないという思いが心の奥に芽生えていました。

それからというもの、私はスマホを見るのが怖くなりました。画面を開くたびにあの写真が現れるのではないかと、無意識に確認してしまうのです。しかも、次第にその影の女性が写真の中でこちらに少しずつ近づいているように感じられました。最初は遠くの端にぼんやりと見えていたはずの影が、今では私のすぐそばに立っているかのように写っているのです。

そしてある日、私はついにあの女性の顔をはっきりと見ました。無表情で、瞳は真っ黒。目が合った瞬間、背筋が凍りつくような恐怖を覚えました。それ以降、私はその写真を一切見ないようにしましたが、たとえ写真を消しても、あの目が忘れられません。

最終的に、美咲と私は神社に向かうことに決めました。供養をお願いするためです。

神社の住職に事情を説明すると、彼は深刻そうな顔で「ここで何か良くないことが起こったのかもしれない」と言いました。そして写真をお祓いしてもらいましたが、それが本当に終わりだったのか、今でも私は不安を拭いきれません。

結局、写真が戻ってくることはなくなりましたが、時々ふと、あの女性の影が私の周りを漂っているような気がするのです。

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