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【怖い話】蝕む音 Part 3

蝕む音

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目次

蝕む音 Part 3

地下室

その夜、私は突然目を覚ました。

異常な音に目を覚ます

家全体が低く唸るような音に包まれていた。今まで聞いたことのない低い振動が、壁や床を伝わり、まるで家そのものが生きているかのような異様な感覚を覚えた。時計を見ると、夜中の2時を過ぎていた。私の頭はまだ朦朧としていたが、耳に届く音は容赦なく、眠気を吹き飛ばした。

音は以前の「カサカサ」という音ではなく、もっと大きく、重苦しい何かが家の中を這い回っているようなものだった。まるで何かが確実にこちらに近づいてきている感覚。

胸が締め付けられるような不安が募り、体が緊張で固まった。

懐中電灯を手に取り、私は家の中をそっと歩き始めた。音の出所を追うように、音が響いている方向へ向かう。音は家の奥へと続き、やがて地下室の扉の前で止まった。

冷たい空気が、ドアの隙間から微かに流れ込んでくる。地下室への階段を降りるたびに、音がますます大きく、異常なまでに鮮明に感じられた。

地下室への恐怖の探検

地下室の暗闇に足を踏み入れると、目の前には驚くべき光景が広がっていた。そこには、あの庭で見つけたはずの古びた箱が中央に置かれていたのだ。私は驚きのあまりしばし言葉を失った。

どうして箱がここに? 庭に残しておいたはずなのに、まるで自らここへ来たかのように地下に現れている。

箱は以前よりもひどく劣化し、表面には無数のひび割れが走っていた。心臓が速く鼓動し、恐怖と好奇心が交錯して、私は箱に手を伸ばした。箱の蓋をそっと開けると、再びあの不気味な人形が2体、向かい合うように置かれていた。無表情で、まるで私をじっと見つめているかのようだった。

地下室で見つけた不気味な人形

目が釘付けになり、その瞬間、背後で何かが動く音がした。

振り返ると、暗闇の中から何か巨大なものがゆっくりと姿を現し始めた。それはまるで人間ほどの大きさを持つ蜘蛛のような生物だった。長い脚がゆっくりと床を這い、黒く光る体が不気味にうごめいている。

恐怖で体が凍りつき、呼吸すら忘れてしまった。目の前にいるのは、現実のものとは思えない異形の存在だった。

その生物は私をじっと見つめていた。次の瞬間、信じられない速さで私に向かって襲いかかってきた。私は恐怖の叫びを上げ、懐中電灯を振りかざして後退したが、足がもつれて地下室の床に転びそうになった。蜘蛛のような怪物が迫ってくるのを感じながら、私は本能的に地下室のドアへ向かって必死に走った。

異形の蜘蛛の出現

何とかドアに辿り着き、手で掴んだドアノブを力いっぱい引いた。ドアを閉め、蜘蛛の怪物を振り切った瞬間、激しい音がドア越しに響き渡った。怪物がドアにぶつかり、突き破ろうとしているのだ。心臓が激しく脈打ち、全身が震えていたが、何とかドアを押さえつけ、その場から離れた。

地下室から逃げ出した後、私は息を切らしながら玄関に向かい、外へ飛び出した。

何も考えられず、ただ恐怖に駆られて体が動いていた。車の鍵を探し、震える手でドアを開けると、ようやく車に乗り込んだ。息を整える暇もなく、私はエンジンをかけ、そのまま車を走らせた。

道路は夜の静寂に包まれていたが、私の心は乱れたままだった。後ろを振り返ることなく、ただ車を走らせたが、あの怪物がまだ私を追っているのではないかという不安が消えることはなかった。

あの異形の何かが、なぜ家にいたのか、そして私が見つけた箱とどんな関係があるのか、何もかもが不明瞭だった。しかし、確かにあの怪物は存在し、私を狙っていた。

車のハンドルを握る手はまだ震えていた。走り続けるしかなかった。家から離れることで、この恐怖から逃れられるかどうかも分からなかったが、今はただその不安を振り払うために車を前進させるしかなかった。

家のこと、そして地下室で見た光景は頭から離れず、私の心に深く刻み込まれていた。

車で逃走

あの家には戻れない。何かが確実に潜んでいる。私は今、逃げ切ったのだろうか、それともまだこの恐怖は終わっていないのだろうか。頭の中で無数の疑問が渦巻いていたが、その答えが見つかることはなかった。

車を走らせる私の手は、緊張で固くなり、背中には冷たい汗が流れていた。

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