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【怖い話|短編】埋もれた木箱

埋もれた木箱
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埋もれた木箱

子供のころ、私は友人と一緒に近所の空き地でよく遊んでいた。

その空き地は昔、何かの工場があったと言われていたが、私たちにとってはただの冒険場所だった。ある日、私たちはいつものように空き地を探検していた。すると、友人が「ここを掘ってみよう」と言い出し、持ってきたスコップで土を掘り始めた。

特に理由もなかったが、子供の好奇心に突き動かされて私も手伝った。

空き地での発見

しばらく掘っていると、友人のスコップが何か硬いものに当たった音がした。

「石かな?」と最初は思ったが、土を払いのけると、そこには古びた木の箱が埋まっていた。箱は湿気で黒ずんでいて、ところどころカビも生えていた。サイズは靴箱くらいだが、ずっしりと重く、表面には奇妙な彫り物が施されていた。しかし、彫り物は年月を経てほとんど見えなくなっていた。

「これ、持って帰ろう!」と友人は興奮しながら言った。

私は少し不安だったが、興味に負けてその箱を家に持ち帰ることにした。家に着くと、早速箱を開けようとしたが、古びた錠がかかっていて開かない。両親には何も言わず、次の日に再挑戦しようと、私はその箱を自分の部屋の押し入れに隠した。

その夜、私は何となく不安で眠れなかった。

部屋の中はいつもと同じはずなのに、どこか違和感を覚えた。押し入れの奥にある箱が、まるでそこに存在していること自体が間違いであるかのように、異質な存在感を放っていた。

翌日、友人と再び空き地で会い、箱を開けるために釘抜きを持ってきた。錠は思ったよりも簡単に外れ、私たちは箱を開けた。

箱の中には、いくつかの古びた紙や石のような小さな物が詰まっていた。紙は湿気でボロボロになっていて、文字もほとんど読めなかったが、何か儀式の記録のようなものが書かれているように見えた。

木箱の中身

石には不規則な模様が彫られていて、まるで呪いのような雰囲気を醸し出していた。

その瞬間、友人が「これ、やばいんじゃない?」と呟いた。

私は何も言えなかったが、心の中で同じ考えがよぎっていた。

家に帰ると、私は箱をどうするべきか悩んだ。箱を返したほうがいいのではないかと思ったが、どこに返すべきなのか分からない。そんな迷いの中で数日が過ぎた。

ある日、ふと箱が気になり、押し入れを開けて確認しようとした瞬間、部屋の中に異常な冷気が流れ込んできた。窓もドアも閉まっているのに、まるで誰かが背後に立っているかのようにひやりとした感覚がした。

それ以来、何かがおかしかった。私は急に体調が悪くなり、熱が出たり、悪寒が続くようになった。病院に行っても原因は不明だと言われ、何をしても回復しない。

体調の変化

友人も同じように体調を崩し始め、彼は学校を休むことが増えた。私たちは箱が原因ではないかと疑い始めたが、確証はなかった。

ある日、耐えきれなくなった私は、友人と共に箱を元の場所に戻そうと決意した。空き地に戻り、箱を掘り出した場所に埋め直した。しかし、奇妙なことに、箱を埋めた場所が少し変わっていることに気づいた。周囲の土が崩れていたり、掘り跡が残っているはずの場所がきれいになっていたりした。

まるで誰かが先にそこを掘り起こしたかのようだった。

箱を埋め戻した後、体調は少しずつ回復し、友人も元気を取り戻した。しかし、あの日以来、空き地に近づくたびに不気味な感覚に襲われるようになった。結局、私たちはもう二度とその空き地に行くことはなかった。

空き地への帰還

今でも、あの箱が何だったのか、そしてなぜ私たちがあんなに体調を崩したのかは分からない。ただ一つ言えるのは、あの場所に埋まっていたものは、絶対に触れてはいけないものだったということだ。

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