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【怖い話|短編】階段の先に

階段の先に
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階段の先に

私が通っていた高校は、どこか古めかしい雰囲気を持っていました。

特に校舎の西棟は建設当時のままで、薄暗い廊下や大きな窓から差し込む夕日が、いつも不気味な影を落としていました。ある日の放課後、掃除当番で私はその西棟に一人残ることになりました。

友人たちは先に帰り、校内は静まり返っていました。

薄暗い校舎の廊下

掃除を終え、帰ろうとしていると、普段使われていない古い階段の扉が目に入りました。

そこはずっと鍵がかかっているはずで、立ち入り禁止の場所でした。でもその日は、なぜか扉が少し開いていたのです。中から冷たい風が漏れ出しているように感じ、不思議と足が止まりました。

その時、微かに聞こえてきたのは、すすり泣くような声でした。

最初は風の音かと思いましたが、よく耳を澄ますと、確かに誰かが泣いているように聞こえました。声の方向は階段の上。薄暗い階段の奥から響いているのです。

胸騒ぎを感じながらも、私は好奇心に駆られてそっと階段を上り始めました。

開いた扉と薄暗い階段

一段一段、足を踏みしめるたびに木製の階段がきしむ音が響きます。次第に泣き声は大きくなり、その音が冷たく響くように私を包んでいきました。途中まで上がったとき、ふと上を見ると、そこには白い服を着た女性がうずくまっていました。

肩を震わせ、静かに泣いている様子がはっきりと見えました。

「誰…?」そう呟いた瞬間、彼女が突然動きを止め、ゆっくりと顔を上げました。私は固まってしまいました。

階段の途中で見つけた幽霊

彼女の顔には目がありません。目があるべき場所は、ただの暗闇が広がっていて、無表情のまま私をじっと見つめていました。

その瞬間、全身が凍りつくような恐怖が私を襲いました。動けない――そう感じたのも束の間、彼女は立ち上がり、無音でこちらに歩いてくるのです。

後ずさりしようとしましたが、足がすくんで全く動きません。ただ、冷たい視線を感じながら彼女が近づいてくるのを見守るしかありませんでした。

ようやく身体が動いたとき、私は階段を転がり落ちるようにして逃げ出しました。廊下を全力で駆け抜け、校舎を飛び出すと、振り返る勇気もなく家まで一気に走り続けました。

階段から逃げる主人公

後ろに何かがついてきている気がして、息が切れるまで走り続けたのを今でも覚えています。

次の日、友達にその話をしましたが、誰も信じてくれませんでした。

あの階段はずっと鍵がかかっていて、誰も入れない場所だと。それ以来、私は二度とその階段には近づけなくなりました。

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