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【怖い話|短編】真夜中の赤い水

真夜中の赤い水
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真夜中の赤い水

あなたは一人暮らしのマンションで、いつものように夜更かしを楽しんでいました。部屋には、愛用のコーヒーメーカーから漂う芳醇な香りが充満しています。ふとトイレに行きたくなり、立ち上がると、愛猫が足元にじゃれついてきました。あなたは猫を撫でながら、薄暗い廊下を歩いてトイレのドアの前に立ちます。

不吉な予感

しかし、ドアノブに手をかけた瞬間、あなたは言いようのない違和感を感じます。いつもはスムーズに開くはずのドアが、僅かに抵抗しているのです。心臓が早鐘のように打ち始め、あなたは息を呑みます。

意を決してドアを開けると、そこには見慣れたトイレが広がっていました。しかし、何かが違う。便器の水が、赤く染まっているのです。まるで血のように、生々しい赤が、白い陶器に不気味な模様を描いています。恐怖で足がすくみながらも、あなたは意を決して便器の中を覗き込みます。

次の瞬間、あなたの目に飛び込んできたのは、水面にぼんやりと浮かび上がる人の顔でした。それは、血まみれの顔で、こちらをじっと見つめています。その目は、まるであなたの魂を吸い込むかのように、深く暗い闇をたたえています。

あなたは悲鳴を上げ、慌ててトイレから飛び出します。部屋に戻り、布団にくるまって震えながら朝を待ちます。愛猫が心配そうにあなたのそばに寄り添い、喉を鳴らします。あなたは猫を抱きしめ、恐怖を紛らわせようとしますが、あの血まみれの顔が脳裏から離れません。

逃れられない恐怖

翌朝、あなたは恐る恐るトイレに向かいます。しかし、便器の水はいつものように透明で、何も異常はありませんでした。あれは夢だったのか?あなたは安堵しますが、心のどこかでまだあの血まみれの顔を忘れられずにいます。

その日から、あなたは夜になるとトイレに行くことができなくなりました。あの恐怖が再び蘇るのではないかという不安が、あなたをトイレから遠ざけていたのです。

しかし、ある夜、あなたは我慢できなくなり、意を決してトイレに向かいます。ドアを開けると、そこにはいつものトイレがありました。しかし、便器の水は再び赤く染まっていたのです。

あなたは恐怖で後ずさりしますが、もう逃げることはできません。あなたは震える手で便器の中を覗き込みます。すると、水面に浮かび上がっていたのは、あなたの顔でした。血まみれのあなたの顔が、あなたをじっと見つめていたのです。

悪夢の再来

あなたは絶叫し、意識を失います。あなたの体が床に倒れる音を聞きつけ、愛猫が心配そうに駆け寄ってきます。しかし、あなたはその猫の優しい目に応えることはできません。あなたの意識は、深い闇の中へと沈んでいくのでした。

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