スクランブル交差点の悪夢
東京・渋谷。眠らない街の喧騒の中、IT企業で働くユウキは、連日の徹夜作業で疲れ果てていた。
ある深夜、終電を逃し、薄暗い路地を足早に歩くユウキの背中に、得体の知れない寒気が這い上がった。恐る恐る振り返ると、そこには顔のない女が立っていた。漆黒の闇が、人の形を歪に模して蠢いている。女は、虚ろな空間を覗き込むような大きな目だけをユウキに向けていた。
恐怖で足がすくむユウキだったが、本能的に逃げ出した。しかし、女は音もなく、まるで影のようにユウキを追ってくる。息も絶え絶えに自宅に辿り着いたユウキは、震える手でSNSに助けを求めた。
しかし、返ってくるのは嘲笑と心無い言葉ばかり。「作り話乙」「またバズりたくて嘘ついてんの?」孤独と絶望が、ユウキの心を容赦なく蝕んでいく。
翌日、会社の会議中、ユウキは恐ろしい幻覚を見た。同僚たちの顔が、一人、また一人と、のっぺらぼうに変わっていく。ユウキは叫び声を上げ、部屋を飛び出した。
助けを求めて病院へ駆け込むが、医師からは「過労ですね、ゆっくり休んでください」とだけ告げられる。
ユウキは、自分だけが正常で、世界が狂ってしまったかのような恐怖に襲われる。
そんな中、ユウキのスマホに、差出人不明の動画が届く。そこには、ユウキが知らない自分の姿が映っていた。
深夜、人気のない道を歩くユウキ。その顔は、徐々に歪み、皮膚が剥がれ落ちていく。そして、最後に映るのは、のっぺらぼうとなったユウキの姿。
ユウキは、絶叫しながらスマホを投げ捨てた。現実と悪夢の境界線が曖昧になり、ユウキは精神的に追い詰められていく。そして、ついにユウキは、あの女と再会する。
薄暗い部屋の中、女はユウキにゆっくりと近づいてくる。ユウキは、恐怖で体が動かない。女は、ユウキの顔に触れ、その冷たい指先で、ユウキの皮膚をゆっくりと剥がしていく。
ユウキは、激痛に耐えながら、必死に抵抗するが、女の力は圧倒的に強い。
ユウキは、自分の顔が剥がれ落ちる感覚を味わう。鏡に映る自分の姿は、もはや人間ではなかった。ユウキは、絶望の淵に突き落とされ、意識を失う。
目が覚めると、ユウキは、真っ白な部屋にいた。ベッドの横には、一台の鏡が置かれている。
ユウキは、恐る恐る鏡を見る。そこに映っていたのは、のっぺらぼうとなった自分だった。ユウキは、絶叫し、鏡を叩き割る。
しかし、どれだけ叫んでも、どれだけ暴れても、ユウキは、もう元には戻れない。ユウキは、永遠に、のっぺらぼうとして生きていくことを悟り、絶望の淵に沈んでいく。
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