星降る夜の悪夢
2023年8月30日の夜、大学生の翔太は、友人たちとキャンプに来ていた。夕食を終え、焚き火を囲んで談笑していた時、誰かが空を指差した。「見て!流れ星!」
夜空を見上げると、青緑色の光が静かに夜空を横切っていた。それは、今まで見たことのないほど大きく、明るい流れ星だった。
「うわぁ、すごい!願い事しなきゃ!」
友人たちは興奮気味に叫んだが、翔太はなぜか、言いようのない不安を感じていた。その光は、美しさよりも不気味さを漂わせていたからだ。
数時間後、翔太はテントの中で眠りについたが、奇妙な音で目を覚ました。それは、金属が軋むような、不協和音のような、聞いたことのない音だった。
テントから這い出し、音のする方へ目を向けると、近くの森の中に、不気味な光が明滅しているのが見えた。好奇心と恐怖が入り混じった感情を抱きながら、翔太は光の方へと近づいていった。
森の中は、昼間とは全く違う顔を見せていた。木々は不気味に揺れ、地面には霧が立ち込め、得体の知れない生き物の鳴き声が響いていた。
光は、森の奥深くへと続いていた。翔太は、足元の枝を踏みしめながら、慎重に進んでいった。やがて、視界が開け、目の前に信じられない光景が広がった。
それは、巨大な金属の塊のような物体だった。銀色の機体は、所々焼け焦げており、異様な熱気を放っていた。その周りには、奇妙な形の植物が生い茂り、不気味な光を放っていた。
翔太は、恐怖で足がすくみそうになったが、好奇心が勝り、少しずつ円盤に近づいていった。すると、突然、機体のハッチが開き、中から人影が現れた。
それは、人間とは似ても似つかない、異形の生物だった。大きな頭部、黒い瞳、灰色の肌。そして、手足には鋭い爪が生えていた。
翔太は、恐怖のあまり声も出なかった。異形の生物は、ゆっくりと翔太に近づき、手を差し伸べた。その手は、人間のものとは異なり、まるで爬虫類のような鱗に覆われていた。
次の瞬間、翔太の意識は暗転した。
目が覚めると、翔太は自分のテントの中にいた。外はすでに明るくなっており、友人たちが朝食の準備をしていた。
「翔太、昨日どうしたの?夜中にふらふら出て行って…」
友人の言葉に、翔太は昨夜の出来事を話そうとしたが、言葉が出てこなかった。それは、あまりにも非現実的な体験だったからだ。
しかし、翔太の腕には、確かに異形の生物の爪痕が残っていた。あの夜の出来事は、夢ではなかったのだ。
翔太は、あの日以来、二度と流れ星を見ようとは思わなかった。そして、あの夜の恐怖は、一生忘れられない傷跡として、彼の心に深く刻み込まれたのだった。
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