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【怖い話|短編】怨念の行き着く先

怨念の行き着く先
目次

怨念の行き着く先

高級マンションの大きな鏡に映る自分の姿は、どこか歪んで見えた。美奈はゾクリとした。それはほんの一瞬の出来事だったが、確かに自分の顔ではなかった。

美しい女性

「まさか……」

美奈は、IT企業社長の浩一と付き合って数ヶ月。彼の献身的な愛情に、少しずつ心を開き始めていた矢先だった。しかし、最近感じる違和感。まるで誰かに見られているような、まとわりつかれるような感覚。そして、この鏡に映った「何か」。

違和感を感じる女性

その夜、美奈は悪夢にうなされた。浩一が、血走った目でこちらを見つめ、ゆっくりと近づいてくる。その顔は、昼間鏡に映ったものと瓜二つ。美奈は必死に逃げようとするが、足が動かない。浩一の手が、美奈の首に伸びる—。

「はっ!」

跳ね起きるようにベッドから飛び起きた美奈は、全身冷や汗でびっしょりだった。心臓が激しく脈打ち、呼吸も乱れている。

「あれは、ただの夢じゃない……」

不安を感じる女性

美奈は直感した。浩一が生霊となり、自分に憑依しようとしているのだと。過去に男たちに利用されてきた美奈は、霊的なものへの感受性が人一倍強かった。そして、生き霊に対処する方法も知っていた。

美奈はすぐに、信頼する霊能者の元へ向かった。薄暗い部屋の中、線香の香りが漂う。霊能者は美奈の話を静かに聞き終えると、ゆっくりと口を開いた。

「間違いありません。あなたに強い念を抱く生き霊が憑こうとしています。早急に除霊の必要があります」

霊能者の事務所

美奈は覚悟を決めた。数日後、荘厳な雰囲気の中、除霊の儀式が行われた。お経が響き渡り、美奈の額に清めの塩がかけられる。儀式が進むにつれ、美奈は体の中から何かが抜けていくような感覚を覚えた。

数週間後、美奈は浩一に別れを告げた。突然のことに浩一は激しく動揺したが、美奈の決意は固かった。

別れを告げる女性

その後、美奈は仕事で成功を収め、充実した日々を送っていた。一方、浩一は美奈を失ったショックから立ち直れず、自暴自棄になっていたという。そしてある日、彼のマンションで変わり果てた姿で発見された。警察は事件性はないと判断したが、美奈は知っていた。あれは、除霊によって行き場を失った浩一の生霊が、彼自身を滅ぼしたのだと。

祈る女性

美奈は浩一の冥福を祈りつつ、新たな人生を歩み始めた。もう二度と、男に利用されることも、霊に苦しめられることもない、強く美しい女性として。

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