潰された真実
ある秋の夜、私は自宅で何気なくニュースを眺めていた。
これでも私は、地方都市でフリーランスのジャーナリストとして働いている。最近、この小さな沿岸町で起きた連続失踪事件が気になっていた。どの事件も被害者は町の外れにある廃工場の従業員だったという共通点があった。
警察の捜査は表面的で、地元メディアもこの話題からは遠ざかっていた。何かがおかしいと直感した私は、自ら真相を探ることにした。
失踪者の家族と話をする中で、彼らが最後に見かけられたのはその工場の近くだということが分かった。警察が見逃している何かがあると確信し、私はその工場に向かった。夜が深まるにつれて、その場所へと足を踏み入れる勇気を振り絞った。
工場はすでに使われていないはずだったが、中からは薄暗い光が漏れていて、何者かが中にいることを示していた。心臓の鼓動を抑えつつ、私は慎重に敷地内へと忍び込んだ。内部は湿った空気と異様な静けさが支配していた。私が足を進めるにつれ、何か異臭が鼻を突いた。
その原因が何かを確かめるため、私は更に奥へと進んだ。すると、突如として足元に冷たい何かが触れた。驚いて懐中電灯で照らすと、そこには人の手が…。さらにその場所を照らすと、そこには数体の遺体が無造作に積み上げられていた。私の恐れていたことが現実のものとなった。
証拠を押さえ、私は足早にその現場を後にした。
心臓が高鳴り、家の扉を開ける手が震えていた。今日見たことは、これまでのどんなスクープよりも重く、危険を直感していた。
家の中に入ると、一息つく間もなく、私のスマートフォンが震え始めた。見慣れない番号からの着信だった。迷うことなく通話ボタンを押し、「もしもし」と声をかけると、相手はただ一言、「喋ったら死ぬ」と告げて電話を切った。
その声は冷たく、無機質で、誰が言っているのかまったくわからなかった。しかし、その脅迫は明らかに私が知り得た事実に対する警告だった。
この事件を私が公開したということは、私の身に何かが起きたと思ってほしい。
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