呪いのビデオテープ
東京のある大学に通う映画学部の学生Aさんは、学内の映画研究クラブの活動に熱心に参加していた。このクラブでは、古典的な映画の解析から、現代映画の技術革新に至るまで、幅広いトピックを扱っている。特に、ホラージャンルに対する興味が高く、メンバーたちは古いホラーフィルムの収集と研究に情熱を注いでいた。
ある日、Aさんはインターネットの古い映画フォーラムで、一人の映画収集家から連絡を受けた。その人物は自身を「映像アーカイブの守護者」と称し、数十年前に製作されたとされる未公開のホラーフィルムのビデオテープを持っていると言う。彼はそのビデオテープを手放す意向を示し、ただし「複数で観ること」を条件にした。
彼はこのテープについて、具体的な内容は語らず、「その映像は一人で見るには強すぎる」とだけ付け加えた。
興味をそそられたAさんはそのビデオテープを受け取ることに決め、クラブの部室で視聴会を開くことにした。彼女は安全を考慮して、クラブの信頼できる5人のメンバーを招集し、一緒にこの謎のテープを見ることにした。
テープを再生すると、映像は一見通常のホラーフィルムのように始まった。しかし、やがて画面には彼らの大学キャンパスが登場し、不気味なほどリアルに彼らの日常の場所が映し出された。
カメラは次第にクラブの部室に向かい、画面には彼らが部室にいる様子が映し出される。突然、部室の静かな雰囲気が変わり、不穏な空気が流れ始める。このショッキングな展開に、メンバー全員が声を失った。部屋全体が静まり返り、カメラがそれぞれの顔をじっくりと捉える。
映像の中で彼らの表情が少しずつ恐怖に変わっていくのが分かる。カメラはさらに前進し、テレビ画面に映し出されている彼ら自身の姿を映し出す。それを見た瞬間、部室にいた全員が現実と映像の区別がつかなくなるほどの恐怖を感じる。
突然、映像は一変し、彼ら自身が何かに追われる様子が映し出された。画面の彼らは恐怖に顔を歪め、一人また一人と消えていった。映像が終了すると、部室の電気が消え、再び点灯した時、彼らは自分たちが映し出されていることに気付いた。
その日以降、部室のテレビは自動的に点灯し、夜な夜なその恐ろしい映像が再生されるようになった。
部室に入る者は誰もおらず、そのビデオテープも見つからなかった。
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