ラビリンスからの脱出
ギリシャを訪れた日本人女性観光客のミナとユイは、冒険心に溢れた親友同士。
二人はこの旅でただ観光名所を巡るだけでなく、現地の隠れた文化や伝説に触れることに興奮していた。ある日、地元のカフェで偶然耳にしたのは、「ラビリンス」という名の会員制バーの噂。特に毎月6日に行われるというショーが、危険かつスリリングな体験であるという。
好奇心が抑えられなくなったミナとユイは、そのバーを訪れることを決意。彼女たちは、細い路地を抜け、古びた扉を開けると、想像以上に洗練された内装のバーに足を踏み入れる。二人が訪れたのはちょうど6日の夜、ラビリンスのショーが開催される日だった。
ショーが始まると、ミナとユイは他の観客と共に、謎の扉を通って巨大な迷宮へと案内される。そこで行われるショーは、人体解体を模したパフォーマンス。ステージ上では、恐ろしいほどリアルな演技が展開され、二人は恐怖で身動きが取れなくなる。
ショーが進むにつれ、会場内の照明が突然落ち、一瞬の静寂が訪れる。ミナとユイは手探りで互いの手を握り、何が起こるのか身構える。すると、遠くから低く重い足音が響き渡り始め、それが徐々に大きく、速くなる。足音の主が近づいていることが明らかになるにつれ、観客たちの間に緊張が走る。
突然、会場の中央に設置されたステージの背後から、巨大な影が現れる。
照明が一斉に点灯し、その姿をはっきりと映し出す。そこに立っていたのは、迷宮の伝説を体現するかのような、恐ろしいミノタウロスの姿だった。
このミノタウロスは、人間の体に牛の頭を持つ生き物として古代から語り継がれてきた神話の生物を忠実に再現している。その筋骨隆々の体は、まるで古代の戦士のように見え、頭部の牛の角は鋭く光り輝いている。目は赤く燃えるように輝き、その視線は観客一人一人を突き刺すようだ。
ミノタウロスの吐息は重く、そのたびに会場内に冷たい風が吹き抜ける。
ミノタウロスはステージ上をゆっくりと歩き回り、時折、力強い咆哮を上げる。その声は会場の隅々まで響き渡り、観客たちを震え上がらせる。人体解体を模したパフォーマンスの恐ろしさに加え、このミノタウロスの出現は、観客に古代迷宮の伝説が現実のものとして蘇ったかのような恐怖を与える。
ミナとユイは、このミノタウロスの姿を見た瞬間、これはパフォーマンスではなく、本当に行われている殺戮ショーだと悟った。
彼女たちは急いで脱出しようとするが、迷宮のように複雑なバーの構造に阻まれる。恐怖とパニックの中、彼女たちは互いに協力して隠された出口を見つけ出そうとする。
最終的に、ミナとユイは脱出に成功し、外の世界に飛び出す。二人は警察に通報するが、当局が「ラビリンス」の場所に到着した時、そこには何も残されていなかった。
まるでバーが消え去ったかのように。
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