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【洒落怖】和尚と蘇る亡者の物語

経を読む和尚さん
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和尚と蘇る亡者の物語

かつて、ある寒々とした冬の日、山深くに佇む古寺の和尚さんが、近隣の村で起きた異常な葬儀の話が村外れの小さな茶屋で語られていました。

話をしていたのは、その寺をよく知る中年の旅人でした。彼は、火鉢に手をかざしながら、不気味な体験談を紡ぎ始めました。

語り始めた旅人

「和尚さんが経験した話ですよ。その日、彼は近隣の村で亡くなった一人の男性の葬儀に招かれました。その男性は、生前、村人から少し距離を置かれがちな、孤独な人物だったそうです。和尚さん自身、その男性と面識はなかったものの、亡き魂への慈悲の心から、彼の最期の儀式を執り行うことに同意されました。」

旅人は一息つき、周りの人々が話に見入っているのを確認すると、さらに話を続けました。

「葬儀の日、和尚さんは山を下り、男性が生前住んでいた家へ向かいました。その家は、なんとも言えない厳かな空気に包まれており、周囲を取り巻く霧が、いつもよりも一層濃いように感じられました。家の中に入ると、棺はすでに設置されており、遺族らしき人物の姿はほとんど見えませんでした。」

「和尚さんが経を唱え始めたとき、不可解なことが起こり始めました。室内に突如として冷たい風が吹き抜け、棺の周りに異様な気配が漂い始めたのです。それでも、和尚さんは動じることなく、経を唱え続けられました。しかし、法要が進むにつれ、さらに奇妙な現象が起こります。棺の中から微かな音が聞こえ始めたのです。最初は気のせいかと思われましたが、音は徐々に大きくなり、まるで中の何かが外に出ようとしているかのようでした。」

棺の中から音がする

聴衆は息をのみ、旅人の話に釘付けになりました。

「そして、最も恐ろしい瞬間が訪れました。法要の終わりごろ、棺蓋が突如として勢いよく開き、中から男性の遺体が立ち上がったのです。その遺体の目は真っ白で、まるで生きているかのように和尚さんを見つめていました。和尚さんはこの異様な光景に一瞬凍りつきましたが、直後、遺体は突如消え去り、和尚さんは再び一人、その場に立ち尽くしていました。」

旅人は、火鉢に手を温めながら、話を締めくくります。

「和尚さんはその後、男性の遺体が示した異常な行動の原因を探求しました。彼は、亡き男性がこの世に未練があったために、あのような現象が起こったのだと結論付けました。和尚さんは数週間にわたり、男性の魂が安らかに眠れるよう、特別な法要を執り行いました。そして、あの葬儀以降、その男性にまつわる奇妙な話は二度と聞かれることはありませんでした。和尚さんの深い慈悲と強い信念が、最終的には亡き魂を救ったのです。」

話が終わると、茶屋の中はしばらくの間、沈黙が続きました。外はまだ寒々とした冬の風が吹いていましたが、旅人の話は聞いた者たちに深い印象を残しました。和尚さんの経験した葬儀は、ただの話以上の意味を持ち、生と死、そして未練がこの世に与える影響について考えさせられるものでした。

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