【洒落怖】名前を呼ぶ悪戯電話
A子は一人暮らしを始めてからというもの、奇妙な電話に悩まされていた。深夜、誰もいないはずなのに電話が鳴り、受話器を取ると何も聞こえないのだ。最初はいたずらだと思っていたが、日に日に頻度が増し、時間帯もバラバラになっていく。深夜だけでなく、昼間や食事中にも鳴り響く電話は、A子の生活を徐々に蝕んでいった。
ある日、A子は友人B男にこの奇妙な電話について相談した。B男は最初は取り合わなかったが、A子の様子が日に日に憔悴していくのを見て、何とかしようと決意する。そして、A子と一緒に電話が鳴るのを待つことにした。
深夜、A子の部屋に再び電話が鳴り響く。B男が受話器を取ると、かすかに息遣いのようなものが聞こえた。しかし、誰の声なのか、何を言っているのかは聞き取れない。B男は何度も相手の名前を呼んだが、返答はなかった。
数分後、電話は突然切れた。B男はA子と顔を見合わせ、言葉を失った。この電話が何なのか、誰からのものなのか、二人には全く分からなかった。
その後も、奇妙な電話は鳴り続けた。A子は次第に電話恐怖症となり、夜になると眠れなくなった。そして、ついにA子は耐え切れなくなり、引っ越しを決意する。
引っ越し当日、A子は全ての荷物を運び出し、新しい部屋に入った。そして、新しい電話番号を取得し、過去のことを忘れようと決意した。
数ヶ月後、A子はようやく平穏な生活を取り戻していた。しかし、ある夜、A子は再びあの奇妙な電話の夢を見た。夢の中で、電話の向こう側には誰かがいた。その人物はA子の名前を呼び、助けを求めていた。
A子は夢から覚め、冷や汗をかいた。そして、ふと電話台を見ると、そこには見知らぬ番号からの着信履歴があった。A子は恐る恐る受話器を取ると、かすかに息遣いのようなものが聞こえた。
「助けて…」
その声は、A子の名前を呼んでいた。
A子は絶叫し、受話器を落とした。そして、再び引っ越しを決意した。
A子はその後も、何度も引っ越しを繰り返したが、奇妙な電話は鳴り続けた。A子は次第に追い詰められ、精神的に追い込まれていく。そして、ついにA子は、自ら命を絶ってしまった。
A子の死後も、奇妙な電話は鳴り続けているという。その電話の向こう側には、誰がいるのか、何を言っているのか、誰も知らない。
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